記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
12時5分前に家を出ると、門の前で蒼大先輩がチャイムを鳴らそうとしているのが見えた。
「蒼大先輩!」
「ん?あぁ、静月おはよ!」
蒼大先輩に手を振ると、軽く手を振り返してくれる。
8月に入ってからというもの、日差しはさらに鋭く、肌に刺さるような暑さだ。
「そんじゃあ、行くか、静月」
蒼大先輩が私に手を差し出して、優しく笑いかけてくれる。
私はその手をとって、蒼大先輩の横に並んだ。
「2人とも、気をつけるんだよ」
すると、おばあちゃんが家から出てきて、私たちを見送ってくれた。
「行ってきます、おばあちゃん」
「はい、帰りは俺が送りますから!」
蒼大先輩の言葉に、おばあちゃんは「頼もしいわね」と笑みを浮かべていた。
そして歩き出すと、
「電車で良かったんだよな?」と私に尋ねてきた。
「あ、はい……電車で、一時間です」
「…………緊張するよな」
駅までの道のりを歩きながら、蒼大先輩が心配そうに私を見つめてきた。