記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「はい……10年ぶりなので……」
10年という月日が流れても、私の中には根強く残る、あの日の出来事。
『男だと、どういう事だ!!』
『違うのよ、違うのよあなたっ!!』
『あなたのせいよ……この、化け物!!』
『お姉ちゃんは……疫病神だよ』
私という存在を否定する声、私が犯した罪を思い出させる出来事が、頭の中でこだまする。
「私は……家族にとって化け物で、疫病神です。今さら、どんな顔してあったらいいのかなって、思ってます…」
「静月……」
「家族を壊した自分は、まだ嫌いです。だけど、蒼大先輩と一緒にいたら、少しずつ受け入れられた。でも、また必要ないって言われたら……」
繋いだ手にすがるように、ギュッと握りしめる。
すると、蒼大先輩が強く握り返してくれた。