記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


「源……そうか、お前そんな事を……」


切なげにその背中を見上げる蒼大先輩に、胸が痛む。

そして、キィィッと開け放たれた屋上の扉。


眩しい光が目に差し込む。


すると、開けたのは源先輩のはずなのに、あの定位置に源先輩が立っていた。


そして、太陽に透けるその金髪を見つめる。


あれ……この既視感、これは………。


そして、歩き出そうとする私を追い抜かしていく、制服姿の女の子。


あれは……。


「あれは、静月!?」


蒼大先輩も驚いたように声を上げる。

まぎれもなく、今私を追い抜かしたのは、私だった。

そう、あの日、初めて源先輩に会った時の、過去の私。


いつものように屋上の扉を開け放って、この澄み渡る青空を見上げる為。


「空が………」


夕暮れのはずが、太陽が輝き、光照らし、澄み渡る青空が目の前に広がっていた。


「この時の私は……源先輩が今にも光に溶けてしまいそうで、消えてしまいそうな、そんな気がして、つい駆け寄ったんです……」


「じゃああれは、その時の静月か??」


私と蒼大先輩は、遠くから会話をする2人を眺める。


そしてゆっくりと近づくと、『いつもここに来るの?』という蒼大先輩の声が聞こえた。





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