記憶の中で生きる君へ、この空に誓う



『うん、一人になりたくて。あなたは?』


『俺も。ここは……空が近いから……』


そう言って空を見上げた源先輩は、すごく清々しい笑顔をしていたのを、今でも覚えてる。


「この時にはもう、死ぬつもりだったんだよな……」



蒼大先輩の言葉に胸が締め付けられる。


そうだ、私と話した後に、源先輩は自殺したんだ。


それに、気づくと、源先輩の言葉、表情一つ一つが切なくて、悲しくて…泣きそうになった。



『あの空の向こうには、俺たちには想像も出来ない、楽園が広がっているらしいんだ』
 

『へぇ……』


そんな楽園があったらいいのにって、私も思ったっけ。


「楽園……?」


「たぶん、誰の目も気にしない、ただ平穏に過ごす事が出来る楽園……の事だと思います」


源先輩は、この時すでに見えていたんだろう。

あの青空の向こうにある楽園が。


「静月も、行きたいと思ってたのか?」


「……そうですね、この時は」


「俺が静月に、源に似てるって言ったのを覚えてるか?」


蒼大先輩とであって間もない頃に、そんな事を言われたような気がする。


結局、どんな所が似てたのか、聞いてなかったけど、今の私にはわかる気がする。



 

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