記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
私には家族は傍にいなくて、親友どころか、友達と呼べる存在、恋人もいなかった。
でも源先輩には家族が傍にいて、親友もいて、恋人もいた。
こんなにも違うと思っていた私たちには、大きな共通点があったんだ。
私にはこの瞳と力がもたらした化け物という噂、源先輩には父親の飲酒運転がもたらした人殺しという噂。
お互いに、それが決定的な原因じゃなくても、少なからず引き金となっていて、自分を咎人だと思った。
そして、孤独になったという事。
「お前たちは、儚く消えそうだなと、思った。そういう所が、似てるって思ったんだ」
「わたしも、源先輩とはどこか、通じ合うモノがありました。だからきっと、初対面なのに、何でも話せたんだと、思います」
不思議な波長。
前に、蒼大先輩と源先輩が親友になれたのは、波長があったからだって言ってた。
まさに、あの感覚だと思う。
『目、エメラルドグリーンなんて、すごいね』
『えっ……』
『そういう目って、オッドアイって言うんだよね。俺、初めて見たな』
あぁ、これも今では懐かしい。
「ふふっ……源先輩は、直球で、私のコンプレックスに突っ込んで来たんです。普通なら見てみぬふりするのに……」
「源らしいな、たぶん本気で、その瞳をコンプレックスだとは思ってなかったんだろう。そこが源の長所と短所だな」
蒼大先輩も、笑みを浮かべて、源先輩を見つめていた。