記憶の中で生きる君へ、この空に誓う



『その目で、人を呪えるって本当?』


『そんなわけないよ、呪えるならとっくにやってる』


『ハハッ、君は強いね』



そう、この時源先輩は私を強いと言った。


それは、イジメられていた源先輩が、そんな風に言いかえせなかったから?


でも、それは大切な人を守るためだ。


私は弱い……噂されてても、言い返せないで、心の中で相手を卑下する事しかできなくて……。



だから私は、源先輩こそ、強い人だと思う。



『でも、触れたモノの記憶と感情を読み取る事は出来る』

『へぇ……』

『信じてないでしょ』


こんな話、普通なら信じないし、気味悪がる。


変人レッテルがいいところだと思う。


なのに源先輩は、そんな私の想像を裏切って、こう言ったんだ。


『いいや……君の事を、信じるよ』


『え……?』


聞き間違いだと思ったし、1秒も迷わなかったので、うまく聞き取れなかった。

 
きっと、想像してないからなおさら、言葉が耳に入ってこなかったんだと思う。


今だから分かる……これは、源先輩がお母さんに別れを告げる時、言ってたもんね。



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