記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
そして、光が止むと、屋上の中央に立つ源先輩がいる。
ゆっくりとフェンスに歩み寄り、そのフェンスを乗り越えると、両手を広げた。
『さよなら、17年生きた世界』
まるで、鳥のように、いや……その背に白い光の翼をはためかせて、あの青空へと羽ばたくのではないかとも思った。
「源っ!!」
「源先輩っ!!」
蒼大先輩と私は、ほぼ同時に源先輩に向かって走り出す。
その手は固く握りしめたまま、ただ同じことを思った。
ーーー"生きて"と。
『さよなら……』
そして落ちていく源先輩の体、だけど、源先輩は笑っていた。
それに、私と源先輩は立ち止まる。
引き留める事が出来ないほどに、安らかな笑顔だった。
そして、光が世界を包み込むと、私たちはどちらが上で下なのか、平均感覚を失う。
そして、光が消える瞬間ー。