記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「……力が、嫌いなのか?」
「……あたりまえです。他人の記憶も、感情も……知らない方が幸せなモノもあります」
誰しも抱えている痛み、後ろめたさ、邪な感情…過ちの記憶。
それを覗かれるなんて、いい気分はしない。
それに、それを軽々しく口にしたばっかりに、崩れる関係もある。
そう、うちの家族みたいに………。
「俺は、静月のその力に感謝してるぞ。静月がいなきゃ、俺はずっと源の事を知らないままだったかもしれない」
「……源先輩の記憶が、悲しいモノだったら?見なきゃ良かったと思うくらいに辛いモノでも……そう言えますか?」
「なぁ、静月。その悲しい、辛いって気持ちは、源の全てを知ったからこそ生まれるんだろ。親友の苦しみを受け止める覚悟は、もう出来てる」
「蒼大先輩は……すごく、強い人ですね」
私は、そんなに強くなれない。
知れば、苦しくて、また何かを失ってしまいそうな恐怖に襲われる。
知らなければ、傷つくこともないのにって、そう思ってしまう。