記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


『いいや……君の事を、信じるよ』


『え……?』


彼は、迷わずにそう言った。


『君は、特別なんだね』


『違う、異質なんだよ、私は……』


『いいや、少なくとも、君は俺にとって、今この瞬間、特別な存在になったんだ』


彼の言葉の真意が分からない。

首を傾げると、彼は自身の耳の銀のイヤーカフを外した。


『なら、これを』


そう言って渡してきた、銀のイヤーカフ。


『え、どうして……』


『君は、触れた物の記憶を見る事が出来るんだろう。ならこれは、俺の傍にずっとあったモノだから』


あったモノだからって……。

なんの答えにもなってないし、この人は、何を言いたいの。




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