記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


ー次の日。

私は一人学校へと向かう道のりを歩く。

ふと、昨日ぶつかった男の子の事を思い出した。



『人殺し』


あの声を思い出して、体がブルッと震えた。


なんとなく、またあの男の子に会ってしまう気がして、私は道を変える。


普段は学校までの近道で、住宅街の間をぬって通っているのを、一本隣の大通りから学校へ向かう事にした。


ーブロロロロッ


交通量が多いせいで、車の走る音がやけに煩い。


久しぶりに通るけど、騒がしいのはあまり好きじゃないから、明日からはまた通う道を検討しよう。


そんな事を考えていると、横断歩道前にたどり着く。


そこで、3人の主婦のような人たちが黄色い『安全』の文字が書かれた旗を持って喋っていた。


小学校の交通安全係みたいなものかな。


高校の近くに小学校があるからっていうのもある。


早く、信号変わらないかな……。

赤が青に変わるのを心待ちにしていると、「そういえば、ここも大きな事故あったわね」と主婦の会話が聞こえてきた。





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