記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


へぇ、そうなんだ……。

つい、主婦の会話を聞き入ってしまう女子高生の私。


「トラックがスリップしたやつよね」


「飲酒運転だったらしいわよ」


「あら、危ないじゃないの。通学路だっていうのに……」


「死人も出たとかなんとか……」



そんな大きい事故、あったんだ。


横断歩道へと目を向けると、タイヤがスリップしたような焦げた跡が白線の所に残っている。


「あぁ、そうそう。その運転手の子供がね……」


ー♪~♪~♪~


信号機が青に変わる音で、歩き出す。

すると、向かいの歩道から横断してくる、40代くらいの、女性と目があった。


「………?」


何だろう、やけに目が合う。

それに、すごく疲れたような……表情に陰があった。


ーズキンッ


何でか、胸が軋むように痛んだ。

これ、もしかして……この人の、感情?

そして、横断歩道の中央で、その女性とすれ違った瞬間ー。




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