記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


「あ……俺、もう見つけたぞ」


「えっ……な、何ですか??」


蒼大先輩は、私の目元を親指で拭うと、ニッと笑みを浮かべて、私に顔を近づける。


「エメラルドグリーン」

「あ………」


それが、私の瞳の事を言っているのだとすぐに分かった。

蒼大先輩は、ジッと私を見つめてくる。


「宝石みたいだろ、すごい綺麗なんだよな」


「わ、私は……嫌いです、この瞳の色」


だって、他の人と違う。

蒼大先輩のブラウンの瞳とも違う異質な瞳だから。


「俺は好きだよ、静月の瞳」


「っ………ありがとう、ございます……っ」


蒼大先輩の言葉に、やっぱり泣きたくなって、私はくしゃっと顔を歪めた。


すると、蒼大先輩は私の頭をいつもみたいにポンッポンッと撫でた。






< 78 / 279 >

この作品をシェア

pagetop