記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


「目、離して悪かった!!何かされたか!?」


心配そうな蒼大先輩の顔に、私は首を横にフルフルと首を横に振った。

私みたいな化け物と、蒼大先輩とじゃ天と地の差がある。

本当なら、言葉も交わしちゃいけなかった。


「……大丈夫です、少し保健室に行きます」


「俺もついてく、一人では行かせられない」


そう言って私の手をとる蒼大先輩。

それを、咄嗟にバシッと振り払ってしまった。


「し、静月っ!?」


「………すみません、今は一人にして下さい。大丈夫です、約束は果たします、昼休みに、屋上で待ち合わせで」


驚いている蒼大先輩から逃げるように、駆け足で保健室へと走った。


失礼だったと思う。

だけど、なんだか私と蒼大先輩の生きている世界が違いすぎて、怖くなった。


蒼大先輩のおかげで好きになれそうだった自分が、また嫌いになる。


結局、私は仮病で一時間目の数学を休んでしまった。






< 82 / 279 >

この作品をシェア

pagetop