記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
そして、蒼大先輩に手を引かれて辿り着いたのは、体育館裏の、人気の無い場所だった。
「校内だと、人がたくさんいるからな」
「秋乃さんはここに来るんですか?」
「あぁ、呼び出した。もう来ると思うぞ」
そんな事を話していると、「蒼大?」と、少し控えめに声をかけてくる、ロングヘアーの黒髪の女の子が現れた。
「あっ……」
私は咄嗟に蒼大先輩と繋いでいた手をパッと離す。
すると、蒼大先輩が苦笑いを私に向けた。
それに恥ずかしくなりながら俯くと、黒髪の女の子は私達の前に立つ。
「水瀬 秋乃(みずせ あきの)です」
「あっ……高塚 静月です」
ペコリとお辞儀をしてくる秋乃さんに、私は慌てて頭を下げる。
秋乃さん、すごく美人だなぁ……。
私の勝手な想像だけど、大人しくて、清楚そうだと思った。