記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「何か理由が……秋乃先輩がそう思ってしまう理由が、あるんだと思います」
「秋乃……源……。俺は、どうしたらいいんだよ…」
「蒼大先輩………」
大切な2人が、傷ついている。
蒼大先輩が、辛く無いはずないよね……。
俯く蒼大先輩の手を、いつも先輩してくれるみたいに握った。
「静月……悪い、ありがとな?」
私は首を横にフルフルと振る。
なんて言えばいいのか、分からない。
どうしたら、蒼大先輩は気持ちが楽になるんだろう。
こんな時に気の効いた一言が言えない自分が憎らしい。
ーキーンコーンカーンコーン
授業開始前の予鈴が鳴る。
私は、蒼大先輩の手を引いて、校舎へと戻った。
今の先輩は、すごく悲しみに沈んでいる……この繋いだ手から、ヒシヒシと伝わってくる。
だから、私が手を引いた。
私たちは、これからどうしたらいいんだろう。
ううん、私は……傷ついている蒼大先輩や、秋乃先輩、それからあの銀のイヤーカフを託した源先輩に、何が出来るんだろう…。
そう、自分に問いかけては、見つからない答えに、悩む事しか出来なかった。