記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「帰ろう、静月」
「はい、蒼大先輩」
蒼大先輩が差し出す手を、迷わず取った。
私たちは、お互いに見えない道に不安を感じていたのかもしれない。
この手が、私達を安心させてくれた。
同じ目的、向かう場所は同じだから、2人なら、きっと大丈夫だって、思えるから……。
いつも使う、住宅街の間をぬった、近道で帰る。
夕暮れが、私と蒼大先輩の影を伸ばす。
「蒼大先輩、前に私のお弁当、親じゃなくて、おばあちゃんが作ってるなんて、珍しいって言ってたの……覚えてますか?」
私は、蒼大先輩を励ましたくて、ポツリと話し出す。
「ん?あ、あぁ、覚えてる、確か……親が忙しいって言ってなかったか?」
すると、何で突然?と言わんばかりの不思議そうな顔で、私を振り返った。