記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「そこからは、早かった……。お父さんは浮気したお母さんを責めて、お母さんは記憶を読むなんて気味の悪い力を持つ私を、化け物だと言ったし、妹は家族を壊した疫病神だって……」
冷たい瞳……私への憎しみを、肌で感じたのを覚えてる。
「見えなければ、きっと違う、私を憎んでるはずないって、自分を騙す事だって出来た……。でも、私には見えてしまうし、感じてしまうから、逃げる事もできない……」
「だから……力を嫌ってたんだな……」
「はい……。だから今は、おばあちゃんの家で暮らしてます」
そして、気づけば私の家の前にたどり着いていた。
「蒼大先輩、送ってくれて、ありがとうございました」
私がそっと蒼大先輩の手を離そうとすると、「待ってくれ」と逆にその手を強く握られた。
「蒼大先輩……?」
「……静月はやっぱり、俺の希望だ」
「え……?」
「静月は、俺の希望なんだ」
真っ直ぐに私を見つめる蒼大先輩の瞳から、目が離せない。