雨宿りの星たちへ
 



「─── 拝啓 雨宿りの、星たちへ」


封筒に書かれた文言と同じく、そんな書き出しから始まった手紙。

それを雨先輩が、視線でなぞりながら声に変えて紡いでいく。




─── 拝啓 雨宿りの、星たちへ

この手紙が、きみたちに無事に届くかどうかもわからずに、僕は今、筆をとっています。

これは僕の最後の手記であり、この手紙が届く日を見ることすら今の僕には許されない。

だけど最後に見た奇跡のような光景と、輝かしい未来を守るために今、僕は一縷の望みに掛けて筆をとっているのです。

……嗚呼、まずは何から話せばいいかな。そうだ、代々、雨宮家に伝わる言い伝えの話をしましょう。

数十年に一度、雨宮に生まれる子に授けられる特異。それがまさか、自分の身に振りかかることになろうとは、僕は、思ってもいませんでした。

僕は、人の写真を見るだけで、そこに写った人の未来を見ることができるのです。

特異を持って生まれた子は善行に力を使いなさい。世のため、人のために力を使いなさい。もし特異を悪行に使おうとするならば、その者には災いがもたらされることだろう。

その話を初めて聞いた時、僕は、自分の運命を恐ろしく思いました。


 
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