雨宿りの星たちへ
「─── ホント、天気予報って当てにならないわね」
月曜日の朝。お母さんは玄関を開けて空を見上げると、憂鬱そうに溜め息を吐き出した。
外は、雨先輩の予報通りの雨。
テレビの天気予報が予報していた青空は見る影もなく、空には一面に黒雲が広がっていた。
「それじゃあ、お母さん行くね。いつも通り、出る時は戸締まりお願いね!」
傘立てに立ててあった青い傘を手に取り、お母さんがドアノブに手を掛けた。
その姿を真っ直ぐに見つめながら、私は高鳴る鼓動を抑えこむように、強く拳を握った。
「お母さん! 私……っ、」
「うん? どうしたの?」
「……っ、」
言いかけて、言葉に詰まる。自分でも何を言いかけたのかもわからないけれど、少しでも長くお母さんの顔を見ていたかった。
「ミウ、どうしたの?」
「う、ううんっ、なんでもない! お母さん、いってらっしゃい!」
「何よー、変な子ねぇ。ミウも、学校、気を付けて行きなさいよ! それじゃあ、いってきます」
パタン、と。呆気無く閉じたドア。いつも通りの光景に、私は唇を噛み締めて涙を堪えた。