雨宿りの星たちへ
 


ドクドクと、心臓が不穏な音を立て続ける。

だけど先輩だって、それはわかっていたことだろう。昨日は敢えて、口にしなかっただけだ。

私を、これ以上不安にさせないように。これ以上、悪いことばかりを私が考えないように、そのことには触れないでいてくれただけ。

ぼんやりと、薄暗い家の中から外を見た。

雨は昨日の夜更けから突然降り出して、今朝になってからうるさいくらいに窓を叩いている。

それがまるで、外に出ない私をどうにかして家から出そうとしているみたいで怖くなった。

まるで、未来を変えようとしている私を責めているようで。

まるで、逃げ道はないのだと言われているようで、怖くて怖くて堪らない。


「電話……しなきゃ」


ぽつり、と。零してから、私は携帯電話を手に持った。

そのまま学校の電話番号を表示させると、電話口に出た先生にクラス名と名前と「今日は体調不良で休む」ことを伝えた。

電話を切ったと同時に、再び部屋の中には雨の音が響き渡る。

私は近くにあった毛布を頭から被ると、聞こえる音と不安を、必死に頭の中で掻き消した。


 
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