雨宿りの星たちへ
 


「雨先輩…………」


今、ここにはいない彼の名前を声にする。

彼はもう、ここで以前のように、変わらぬ景色を見ることはできないのだ。

私と同じように、この景色を目に映すことはできない。

未来は、こんなにも尊くて、まるで奇跡のようなものだった。

頬を、涙の雫が空から降ってきた雨のように零れ落ちる。

あの時、あの瞬間、私の手を強く引いて、彼は私を抱き締めた。

同時に、先輩は事故に巻き込まれて私と一緒に冷たい道路へと叩きつけられたのだ。

あれから、後悔なんて、してもし足りないくらいにしている。

もしも、私が雨先輩の言い付け通り、家から出ずにいたら、あんなことは起こらなかったんじゃないか。

どうしてあの時、もっと別の方法を考えなかったのかと、何度も何度も自分を責めた。

だけど、そんな風に後悔を重ねても、私の手には何一つだって戻ってはこなかった。

過去を、変えることはできない。

あの手紙に書いてあった通り、現在(いま)を生きる私たちは、どんなに苦しい時でも未来を向いて生きるしかないのだ。

 
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