圭哉くんは俺様且つ暴君。
「圭哉、久しぶりね!
あ、貴方が…小春ちゃんね?」
入るなり、駆け寄って来る1人の女性。
セミフォーマルな服装に、上品な話し方。綺麗な人〜…。
この人が、圭哉くんのお母さん。
見渡す限り彼女しか部屋にはいなくて、両親と対面だと思っていた私はほんの少しだけ肩の力が抜けた。
「あ…の、初めまして。鈴木 小春です。」
勢いよく頭を下げた私が頭を上げれば、クスッと静かに笑われてしまう。
「圭哉、ずいぶん元気な子ね。それに、今までと系統が全く違うのね〜!」
「……ほっとけ。」
「まだフラフラ色んな子と遊んでるの?ちゃんと1人の子を大事にしなさいってお母さんいつも言ってるでしょう。」
…………何だ、この展開。
「関係ねぇだろ。」
私以外にも、彼女としてお母さんに合わせたことがあるって事だよね。
その時の子と、私の系統が全然…違うって事だよね。
……それに、私も遊びの1人だって…お母さんは思ってて
つまり、私は圭哉くんのちゃんとした彼女には見えなかったって事だよね。
「小春ちゃん、圭哉はやめておきなさい。…あなたは何も悪くないのに、キツイ言い方ごめんなさいね?この子は、昔から恋愛に向かなくて。」
"とりあえず、座って"と、ふわり微笑む彼女は、悪い人には見えない。