圭哉くんは俺様且つ暴君。

「で、続きなんだけど」



1通りメニューを頼んだ後、お母さんは当たり前のように話を戻した。



「過去に、小春ちゃんを除いて3人。圭哉は私にこうして"彼女"を紹介したわ。

もちろん、その3回とも私が会いたいって無理言っての事だけどね。」


「くだらねぇ話する為に呼んだなら帰るぞ。」



お母さんの言葉に不機嫌MAXの圭哉くんは、私の腕を掴んで帰る素振りを見せるけれど



「なら、圭哉。1人で帰りなさい。

小春ちゃんはこの話を聞いておいた方がいい。いえ、聞いてもらいたい。」


「……。」


「あ、私も……知りたいです。圭哉くんのことなら、全部。」



黙り込んでしまった圭哉くんに代わって、お母さんにまっすぐ視線を向ければ



「そう言ってくれて嬉しいわ。」


と、お母さんは笑ってくれた。



「……勝手にしろ。俺は帰る。後で泣くなよ?小春。」


「…うん。後で連絡するね。」



私の腕を離し、席から立ち上がった圭哉くんは、そのまま本当に部屋を出ていってしまった。


圭哉くんがいない空間にすごい不安になって、泣きたい気分だけど


お母さんは、きっと私を試している。
過去のどの彼女にも、負けたくない。


だって、関係は偽物でも



私の気持ちは本物なんだもん。


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