圭哉くんは俺様且つ暴君。
………なんて、
いつもいつも私の期待は無残に打ち砕かれて
圭哉くんの答えは私の予想を遥かに上回ってきやがる。
「昔飼ってた犬が、俺以外に懐いた時と同じ感じ。」
「はぁ?……犬…?」
「まぁ?あれほど可愛くないから比べ物にならねぇけどな。」
フッと鼻で笑う圭哉くんに、ムカムカが込み上げるけど…同時に、確かに、平凡この上ない顔が、廊下の窓の冊子に写ってグッとこらえた。
「……可愛くない事なんか知って「他の男にシッポ振ってんじゃねぇよ。
このアホ。」
「……シッポ……アホ…?!」
私の頭に手を乗せてくしゃくしゃと髪の毛をかき乱しながら、顔を近づけてくる圭哉くんに、
心臓はバクバク……
脈はドクドク…
「いいか、小春。
お前がシッポ振って喜んでいいのは、俺に対してだけだ。その足りない頭でよ〜く覚えとけ。」
「っ、」
返事すら出来そうにない。
だって圭哉くんの吐息が…首筋をかすめてくすぐったいし
これじゃあ、完璧に圭哉くんの犬じゃんよ。
「だ、大魔王っ」
ボソッと呟いた私の言葉に、フッと笑った圭哉くんは、クルッと背中を向けて帰っていってしまう。
いやいや、何しに来たんだよ!!用事あったんじゃないのかよ!!!
「圭哉くんのドアホ〜〜!」
ここぞとばかりに、その背中に叫んでみても、振り向くことすらない。
あー、悔しい。
重症すぎて、自分に呆れるレベル。
あんな俺様発言にも、私の胸はこんなにもときめいているなんて。