圭哉くんは俺様且つ暴君。



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ったく、LINE送っても既読スルーとか…いい度胸してやがる。


───ガコンッ


自販機からカフェオレを取り出しながら、本当ならアイツに買いにこらせるつもりだったのに。


と、ため息を漏らした俺は


「また面倒な事頼まれちゃったね…。」



聞き慣れた女の声に顔を上げた。


「ほんと。…でも、俺はやっぱりラッキー、かな。」



視線の先には、俺のジュースを買いに行くはずだった女…小春と、前にも1度小春と一緒に楽しげに話していたクラスメイトらしき男。



「だから、どう言うこと?」


「鈴木さん、鈍感って言われない?」


「言われない、むしろ敏感だと思ってるんだけどなぁ。」


仲良さげに並んで歩く2人の後ろ姿。


俺のLINEをシカトした理由は…担任に呼び出されてたからってところか?


「じゃあ、気付いてよ。」


「……んー、と。」



あの男、間違いなく小春に気があるし、小春も気付いてないだけで満更でもなさそうじゃん。


それ見てイラついてる俺って何だ?


つーか、今まで何があっても小春が俺のいいつけを無視することなんてなかった。初めて無視された挙句、直後に呑気に男と2人で楽しげに歩いてるってのは



「……気に入らねぇな。」



ボソッと呟いた声は、背を向けてどんどん遠ざかっていく2人に聞こえることはない。


だから、俺以外にシッポ振ってんなっつーの。

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