圭哉くんは俺様且つ暴君。
「……そう言えば、昨日 千夏が来た。」
「っ、」
『千夏』その名前に、瞬時に体が反応した。
「旦那さんと一緒に。すげぇ、優しそうな男前だったぞ。」
「ふ〜ん。良かったじゃん。」
体が反応したのも一瞬で、俺は至って冷静にその話を聞いている。
あんなに、想ってた。
すげぇ、好きだった。
物心ついた時には、もう傍に居て。
そして、俺が千夏を想うように、千夏もまた、兄貴を想ってた。
「あれ、それだけ?」
「は?…何が。」
「何だ、千夏のこと吹っ切れてたんだ。…あー、そっか。もう小春ちゃんがいるもんな。」
兄貴には俺の気持ち、バレてねぇと思ってた。
千夏が好きだ…なんて、そんな話をしたことねぇし
千夏の好きなやつが兄貴だって知ってたから
余計、悔しくて言いたくなかった。