圭哉くんは俺様且つ暴君。
千夏と小春。
どっちも季節絡みな名前しやがって。
ややこしいんだよ、バカ。
「…んなの、何年前の話だよ。」
「ま、それもそうだよな。」
俺の返事にハハッと渇いた笑いを零した兄貴に、どしても1つ聞いておきたかった事がある。
「……なぁ。」
「ん?」
「千夏の気持ちに、気付いてただろ。」
「…………んー。まぁ、」
「じゃあ、何で応えてやらなかったんだよ。」
本当は知ってた。
兄貴も、同じく千夏を想ってた事くらい。
なのに、なぜか兄貴は千夏の気持ちに気付かないフリをして、挙句 途絶える事なく女を作って
その度、傷付く千夏を…俺は傍で見てきた。
自分の好きなやつが、同じく自分を想ってる…それに気付いていながら、その気持ちに応えようとしなかった兄貴の心が分かんねぇんだよ。