圭哉くんは俺様且つ暴君。
「いいじゃん、もう。
千夏…幸せになったしさ!」
「…良くねぇよ!ずっと聞きたかった、煮えきらねぇ事ばっか言いやがって。
いい加減、ハッキリ言えよ。」
店には俺しかいない。
シーンと静まる店内に、俺と兄貴の冷めた空気だけが漂う。
「……俺は、自分の気持ちより、千夏の気持ちより、弟の気持ちのが大事だった。
それだけの話だ。」
「っ、」
「俺と千夏がもし、付き合うような事があれば…お前はどうなった?そこにあった気持ち…無理やり封じ込めて、祝ってくれる気だったか?」
「は…、…んだよ、俺の為とか言いてぇのかよ。」
「あー…それは違うな。
強いて言えば全部、俺のためだ。」
「意味わかんねぇ……」
兄貴のこういう所、本気で腹立つ。
俺とは反対に、ニコニコ笑って楽しそうにコーヒーを注ぐ兄貴を見て思うのは
昔から1つも、勝てる部分がねぇってこと。
だから、兄貴になら…千夏を取られてもいいって本当は心のどこかで思ってたのに。