圭哉くんは俺様且つ暴君。


「過ぎた過去はもう、変わらないんだぞ。

今お前が考えなきゃいけねぇのは、小春ちゃんとの事だろうが。」



「…なんで、そこでアイツが出てくんだよ。」



再び挙げられた小春の名前に
ドクン…と心臓が変な音を立てて揺れる。



「千夏以外の女で、唯一 お前が心を許してたのは小春ちゃんだけだろ。

それは、そこに気持ちがあるからじゃないのか?」



諭すように、語りかけるように、俺の中の何かを…こじ開けるように兄貴は言葉を紡ぐ。




「千夏に執着してたお前が、千夏の結婚をあっさり受け入れたのも、お前の中で小春ちゃんの存在が大きくなったからじゃないのか?」



「………。」



「本当は、知ってたよ。
お前と小春ちゃんが、偽恋人だってことも。小春ちゃんがお前を好きだってことも。」



"あんなにお前のために尽くしてくれる子、大事に出来ないんじゃ男として最低だな"



そう付け足してコーヒーを口に運ぶ兄貴。


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