圭哉くんは俺様且つ暴君。
「ま、設定としては上出来か。」
「っ?…圭哉くん!」
いきなり現れた圭哉くんも、私と同じく今登校して来たのだろう、だるそうにスクバを持ちながら私へと視線を落としている。
「俺に群がるうぜぇ女達は、これでお前がいる限り俺に近寄らない。1つ目の役割は上出来って事にしてやる。」
「何よ!偉そうに……。」
「偉そう?…俺は、偉いんだよ。現に俺には絶対服従なんだろ?」
ニヤッと悪魔のように笑う圭哉くんに、ブゥと頬を膨らませば、
「ふっ、んな顔しても可愛くねぇよ。」
と、髪の毛をクシャクシャ軽く撫でられる始末。
「わ、分かってるよ。」
私の返事を聞いた圭哉くんは私から離れると、
「まぁ、せいぜい俺に尽くすことだけ考えて生活しろ。じゃ、俺戻る。」
クルッと来た道を戻って行ってしまう。
あれ…
そうだよね、こっちは普通科棟で…圭哉くんは工業科棟だもんね。
「見た?わざわざ朝から会いに来てくれるなんて羨ましすぎる〜!」
「いいなぁ〜、愛されてるね〜!」
周りの女子たちの声に、ハッとする。
もしかして、昨日の発言のせいで噂が広まってるの予想した上で様子見に来てくれたの…?
いやいや、あの俺様且つ暴君野郎が?そんなわけ……
「あるのかな……。」
遠くなった圭哉くんの後ろ姿を見つめながら改めて思う。
あー、すごい人の彼女になっちゃったな…私。