圭哉くんは俺様且つ暴君。
『仕方ねぇから、友達ってことにしてやる。』
「!ほ、ほんと!?」
『犬の鳴き真似までされたら、不憫だからな。』
「だーー!もうそれは忘れてよ!!」
"あんな面白いの、忘れてたまるかよ"なんて、未だに思い出し笑いをしてはバカにしてくる圭哉くんに、
必死に忘れて欲しいとお願いしたところで、
返ってくる返事は
『やだ。』
決まってるんですけどね。
「もー、ホントやだ。
でも、友達なんだよね!…今度見かけたら、声かけてもいいんだよね?」
もう、逃げも隠れもしなくていいんだよね。いや、本当は今までだって逃げも隠れもする必要なかったんだけど…何となく気まずくて。
『あ?…ちゃんと犬語で話しかけてこいよ?』
「バ、バカ〜!!!」
最後の最後まで私のことからかって、面白そうに笑ってる。きっと今、圭哉くんは意地悪に口角を上げてるんだろうな。
そんな圭哉くんに、腹が立つどころかトキメキすら感じるから私はもう末期なんだと思うのです。
『…じゃ、またな。』
「うん…、またね!圭哉くん。」
電話を切る寸前。
"じゃあな。"から"またな。"に変わった圭哉くんの言葉に、深い意味なんてないのかもしれないけれど。
私はそんなちっちゃな事が、空を飛べるくらいに嬉しい。