圭哉くんは俺様且つ暴君。



「そしたら、全部くれてやるのに。」


「っ…圭哉くん?」



─────突然


ギュッと強く手を引かれて、スポッと圭哉くんの腕の中に収まる私の体。



『そしたら、全部くれてやるのに。』


何度もリピート再生されるその言葉に、私はどんどん期待してしまう。



抱きしめられている腕の中で、どこに行けばいいか分からずさ迷う私の手は宙ぶらりん。



これは…夢なのか。
それとも…現実なのか。


そんなこと考えるくらい頭は混乱してて、




「そしたら、俺だって意地も、見栄も、全部捨てて…お前が好きだって言えんのに。」



やけに小さい声で、ギュッと私を抱きしめながら囁く圭哉くんの声に…心臓が止まりそうになった。




…それって、

それって………圭哉くん。


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