圭哉くんは俺様且つ暴君。
教室を出て、しばらく歩けば見えてくる階段に自然と溜息が溢れた時、
「小春。」
「ひぃっ……」
後ろから聞こえた、悪魔…じゃなくて圭哉くんの声に思わず身震いして身構えた。
「俺からのLINEを未読無視とはいい度胸だな?」
「えっ!?LINE……?」
慌ててブレザーのポケットからスマホを取り出せばディスプレイには確かに圭哉くんからのメッセージが表示されている。
《教室で待ってろ。》
「ほ、本当だ…、ごめん!気づかなくて!!」
無視じゃない、無視じゃない!とブンブン首を横に振る私の頭に、
突然ポンッと乗せられた何かを、両手で掴み胸元へと持ってきてみれば
「…お弁当箱?あ、そっか!だから《教室で待ってろ。》って…。これ返しに来てくれたんだ。」
すっかり軽くなったお弁当箱に、食べてくれたんだって嬉しくなって自然と口元が緩んでいくのを感じる。