圭哉くんは俺様且つ暴君。
「ふふっ……」
「何1人で笑ってんだよ、帰るぞ。」
「うん……え…っ?」
サラ〜って言うから、うんって言っちゃったけど、今何て?
私に背中を向けて階段を降りていく圭哉くんに聞き返しても、
「早く来い。」
そんな言葉しか返ってこない。それって"一緒に帰るぞ"って意味?
だよね。それしかないよね?
いや、確かに…私 彼女なわけで、考えてみればあながちおかしくもないのかも。
でも、まさか圭哉くんが迎えに来てくれる日が来るなんて夢にも思ってなかったから、不覚にも
今…少しだけときめいちゃったじゃん。
『帰るぞ』が、あんまりにもナチュラルなんだもん。びっくりした…。
「…ま、待って!!……っ痛、」
圭哉くんの発言にびっくりして忘れてた。捻挫してたの忘れてた…。
「…足、どうした?」
「わっ、近っ……」
「いてぇの?」
階段を数段先に降っていたはずの圭哉くんの顔がすぐ目の前にあって、慌てて距離を取ろうとすれば
「こう言う時は連絡しろ。」
「…え?」
「言えば迎えに来てやるって言ってんだよ。こんな足じゃ1人で帰れねぇだろうが。」
「…いや、そんな悪いから!」
こんなの、本当に大したことないし。鈍臭いのが悪いんだから。
意外にも優しい圭哉くんの言葉に、少しだけ拍子抜けしながら