圭哉くんは俺様且つ暴君。
「あ?俺はお姫様抱っこなんてしねぇから。悪いな。」
「くっ、そうだった…圭哉くんは王子様じゃなくて魔王様だった…!」
通り過ぎる人達は、ざわざわと私達を見ては口々に噂している。
きっと、明日には『藤崎くんの彼女が足を怪我してて、藤崎くんが抱っこで帰っていった、かっこいい』なんて言う女子たちの【藤崎武勇伝】で持ちきりだろう。
「圭哉くん!もう歩ける!」
「……送ってく。」
玄関に着いたところで、素直に私を降ろしてくれた圭哉くんは、ポツリとそれだけ呟いて自分のクラスの下駄箱へと向かってしまった。
別に、いいのに。本当に本当に…全然 歩けるし。たまに激痛走るけど。