圭哉くんは俺様且つ暴君。
あーあ、まただ。
分かりきってた事なのに、気づけばいつも変な期待をして圭哉くんの言葉を待ってる。
……この気持ちを、何て呼ぶんだろう。
モヤモヤしたり
ハラハラしたり
ドキドキしたり
ギュッ…て、苦しくなったり。
この気持ちを何て呼ぶのか…今まで経験したことのない気持ちの正体に
気付きたいけど…
気付いてはいけない、そんな気がする。
「ただ、」
「ん?」
立ち止まったまま、少しかがんで私の顔を覗き込んだ圭哉くんは
「いひゃ…」
私の頬を片手でつまんだかと思えば、そのまま軽く引っ張った。
「俺のもんなのに、他の男がちょっかい出してんのは気に入らねぇな。」
「…そ、それって…」
「他の男に尻尾振ってんじゃねぇぞ、小春。」
頬から頭へと移った圭哉くんの手は、ポンッと私の頭を叩いて
そのまま滑るように彼のズボンのポケットへと消えていった。
"帰るぞ"
そう言って再び歩き出した圭哉くんに"…俺様野郎"とボソッと反抗する私。
でも、こんな毎日が嫌いじゃない。
圭哉くんがいる毎日が、私は…楽しいのかもしれない。