圭哉くんは俺様且つ暴君。
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夜。
テレビの音だけが響くリビングで、お笑い番組を観ていた私は突然光ったスマホのディスプレイに視線を落とし、
それから
瞬時に通話ボタンへ指をスライドさせた。
『合格。』
スマホを耳に当てた瞬間、憎たらしい言葉を発したのはもちろん圭哉くんで
ワンコールで出た従順な私への"合格"
「何?」
可愛くない返事をしてしまうのは、胸のドキドキを少しでも悟られまいと必死だから。
『…何してるかなぁ〜、と思って。』
「へっ?」
圭哉くんの事だから、きっと今から○○買ってこい!とか、明日○○しろ!とか…そんな電話だとばっかり思ってたから
圭哉くんの言葉に驚きを隠せない。
顔は真っ赤になるのが自分で分かるし、体が火照ってすごい熱い。
「何…ソレ。」
ずるい。
好きになるなって言うくせに、偽恋人のくせに…私ばっかりドキドキしてる。
『お前のこと考えてた。』
「〜〜っ!」
電話越しだけど、耳元で聞こえたその言葉にどうしようもないほど胸は締め付けられて
ぎゅーって……心臓鷲掴みされた気分。