クリア・スカイ

一．天使が落ちた夜。

　
〈あの娘はまるで空から舞い降りた天使のようだ〉


　澄ノ島(すみのしま)の皆は、彼女を目にするたびに必ずそう口にする。
　ある人は天使、ある人は天女と。女神とまで言っている人もいた。

　
　確かに彼女の容姿は、田舎じみたこの島には似つかわしくないほどに美しい。
髪の毛は赤みを帯びた茶色でゆるめのくせがついている。生まれつきのこの髪を彼女は嫌がっていたが、それも腰まで伸ばせばコンプレックスからチャームポイントへと変わった。


　大きくてキラキラと輝く瞳、ほくろ一つない白い肌、リップをしていないのに艶やかで血色がよい唇。


　顔のパーツ一つ一つが整っていて、私は彼女ほど〈まるで人形のよう〉という表現の似合う人物に出会ったことが無い。