クリア・スカイ
「今から半年前、私が中学を卒業した後の春休みに事件は起こりました。幼馴染の女の子、ほたるが家に帰っていないという連絡があって。私達は辺りを走り回って、必死で探しました。
携帯を何度鳴らしても出ないし、本当に心配して……。一緒に遊んでいた公園、神社、この海も探しました。でも、まったく見つからない。もうこの島にはいないんじゃないか、事件に巻き込まれたんじゃないかって大人は言っていました。
でも私は、そうは思わなかった。ほたるはきっとこの島のどこかにいる。そう考えて考えて……ふと、学校の屋上が思い浮かんで」
このときの事を、改めて誰かに話すのは初めてだ。当時の状況を言葉で紡ぐたびに、心がぎゅって押しつぶされそうになる。
苦しい。これから先のことを話すのが怖い。……でも、私は話すのを止めなかった。