クリア・スカイ

 ふと首元に手を触れると、ひんやりとした天然石の感触が伝わってきた。


「今でも私は、どうしてほたるが飛び降りたのか全く分からないんです。ほたるの友達や先生にも聞いたけど、誰も知らなかった。あんなに一緒にいたのに、彼女の悩みに気づくことが出来ず、あげく目の前にいても助けてあげられなかった。私、自分が許せなくて。ショックで。そんな精神状態のまま高校の入学式に行きました」


 桜咲く春の日。本来なら、新しい出会いと生活に心が躍っていたはずなのに、あのときの私は心ここにあらずの状態だった。

 入学式に出て、新しい教室に行って、出席番号順に席につく。同じ島に住んでいるのに周りには知らない子が沢山いた。もちろん、知っている子もいた。


 でも、そんなことはどうでも良かった。


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