クリア・スカイ
先生が自己紹介をして、その後は男子から順番に前に出て自己紹介をした。誰の話も耳に入らなかったし、名前を覚える気もなかった。自分の置かれた環境に興味がもてなかったのだ。
「……興味が持てなかったからじゃなくて、興味を持ってはいけなかった、と思ったからかもしれません。大切な友達一人救えない人間が、新しい友達を作っていいわけがないって思ったから。それに、ほたるがあんなに苦しい思いをしていたのに、自分だけ楽しい思いをしていいのかとも思って……」
「そこまで、思いつめていたのですね」
「そうですね、とにかく自分を責めていました。それで、高校ではずっと一人で過ごして、授業が終わったら病院にいって、ほたるのお見舞いに行きました。
とはいってもずっと彼女は眠っていて、私は彼女の寝顔に話しかけるだけでしたけど。淡々と時間は過ぎていきました。
そしてある日、ほたるのお母さんから言われたんです。ほたるはいつ目が覚めるのか分からない、もう覚めないかもしれないって」