クリア・スカイ

「そう、神社で小銭入れを拾ったときは、小銭入れが教えてくれたのです。彼の持ち主についての情報をね」

 確かに、あの時私は不思議に思っていた。柳さんはどうして持ち主が分かったのだろうって。柳さんは、あの女性がおみくじを買う所を見ていたからと説明したけど、それだけで持ち主を確信するのは難しい気がする。


「柳さんは本当に不思議な力を……」

「――俺は、ほたるの気持ちを知ることが出来るなら、なんだっていい。非科学的な力にだってすがりたいです。俺はもう、出口のない場所で悩み続けるのは嫌なんだ」


 強く言い切った駆の表情は、何かを決意したようだった。
 柳さんは駆を見て「そうですね」と頷くと、今度は私の顔を見つめて、こう問いかけた。


「空野さん、君はどうしますか?」



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