クリア・スカイ

「すいません。俺、一回着替えに家に帰ります」

「そんなことしなくていいわよ。旅館は掃除すればいいのだから。そうだ、浴衣に着替えたらいいんじゃない? ゆかりさん、用意してあげて」

「かしこまりました。すぐに柳様のお部屋までお持ちしますね」

 私達は靴を脱いで旅館に上がり、柳さんの部屋に向かった。その間も砂まみれの駆はずっと顔が赤いまま。「俺だけ砂まみれなのは、理由があるのに」ってぶつぶつ言いながら歩く駆が少し可愛く見える。


「ただいま帰りましたー」

 柳さんは、誰もいない部屋に向かって元気に挨拶していた。私と駆もつられて「ただいま」と言ってしまう。


「違った、私達はお邪魔します、だったね」

「そうだったな。柳さん、お邪魔します!」


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