クリア・スカイ

 私達が部屋にあがるとすぐにゆかりさんが浴衣を持ってきてくれた。駆が浴衣に着替えている間、私は柳さんと向かうようにして座った。

 ゆかりさんがお茶を淹れ終わって部屋から出て行くと、入れ替わるように浴衣姿の駆が姿を見せた。私の隣に座ったけれど、なぜか顔を合わせようとしない。浴衣姿が照れくさいのだろうか。


「では宮村くんの着替えも終わったところで、そろそろ始めましょうか。空野さん、ネックレスを机の上に置いてもらえますか?」

「はい」


 私はすでに外しておいたネックレスをそっと机の真ん中に置いた。

 柳さんは手のひらでネックレスを覆うように触れる。ピアノをしていたのかなって思うくらい、長くてキレイな指をしている。


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