クリア・スカイ
「俺は大丈夫です。覚悟しています」
駆は、柳さんの質問に対して間髪いれずに答えた。それだけ覚悟を決めているということだろう。
その一方で私は? 私は、本当に真実を知る覚悟はあるのだろうか。もしほたるの自殺未遂の原因が私にあったとしたらと思うと怖い。そんな真実と向き合って、生きていける自信がない。
それに加えて、物の記憶が私に届くってどういう感覚なんだろう。体の中に何かが流れ込んでくるのかな。そんな体験、したことがないから怖くて仕方が無い。
「私は……」
駆みたいに、迷いなく答えることが出来なくて悔しい。あからさまに不安を全面に出してしまう自分が恥ずかしい。柳さんも駆も、土壇場になってくよくよする私を情けなく思っているかもしれない。