クリア・スカイ

 その翌日、彼は僕を持って出かけていった。彼の手はとても熱い。そして汗をかいているのかじんわりと濡れている。僕は大丈夫だけど、僕を包んでいるものがくしゃくしゃになったらどうしよう、と心配になる。


「あ、駆だー」

「おはよう。ほたるは?」


 昨日聞いた女の子の声。駆はどこかで陽咲と話しているようだ。そして、僕を渡す相手を探しているらしい。


「もうすぐ来るんじゃないかな? あ、噂をすれば!」


 どうやら、ほたるもここにやってきたらしい。駆の体温はぐっと上がる。そして、僕にも緊張が走る。

 ほたるは僕を見てどう思うのだろう。喜んでくれるのかな。大切に扱ってくれるのだろうか。

 そんな不安を抱えたまま、三人の会話が始まる。
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