クリア・スカイ

「ほたるちゃん、セーラー服がとっても似合うわね。私の自慢の姪っこよ」

「優子さん、ありがとう。優子さんもスーツ姿がとってもステキだよ」

 今日の優子さんはスーツ姿だった。入学式に合わせて買ったらしい。いつも着物姿だから新鮮、というか別人に見える。


「これからきっと、楽しいことがたくさん待っているわ。勉強に部活、あと遊びもいっぱい頑張ってね」

 慣れない通学路。新しい制服を着た子供達が、親に連れられて歩いている。独特の緊張感、桃色の空気、春を感じさせる光。

 ここにいる誰もが新しい毎日に胸を輝かせているから、僕の目の前の光景は眩しいほど輝いている。


「うん! でもほたるは、部活よりも旅館のお手伝いしたいなぁ」

 ほたるもまた、何か新しいことを始めたいらしい。でもそれは、中学校に関することではなかった。
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