クリア・スカイ
 身だしなみは気をつけてはいるが、化粧に興味はなさそうである。僕も、ほたるに化粧は必要ないと思う。彼女は今のままでも、他の誰よりも美しいんだもの。

「それじゃあ、また明日ね」
 
授業が終わると、ほたるは下駄箱へと急いだ。ほたるが早歩きしているのは珍しい。きっと駆を待たせてはいけないと思っているのだろう。

 下駄箱で学校指定の白い運動靴に履き替えていると、同じく靴に履き替えた駆が話しかけてきた。


「よっ。一緒に帰るのは小学校以来だな」

「うん! ほたる、楽しみで授業が頭に入らなかったよ」

「なんだそれ、大げさだな」

 二人は並んで歩き始める。懐かしい空気が二人を包む。他の生徒達は二人を見てこそこそと話をしているようだ。男女が歩いている=付き合っているように見えるのだろう。

 
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