クリア・スカイ
「すっげー見られているな」
「そう? ほたるはあんまり気にならないけどな」
「ほたるのそういうところ、うらやましいよ」
駆は居心地が悪そうだった。人気があるだけに何かと注目されるのかもしれない。何かに縛られているわけではないけど、駆の体は窮屈そうに見えた。
二人は静かに通学路を進んでいく。ぽつぽつとした会話はあるけれど、沈黙の方が長かった。なぜだろう。周りの目が気になっているからかな。
「サッカー部は楽しい?」
「うん、楽しいよ。毎日部活のために学校行っているようなもんだよ」
「そっかぁ。ほたるもまた駆くんがサッカーしているところが見たいな。とってもカッコいいもの」
「……ありがと。ほたるは直球で褒めてくれるよな。少しは陽咲も見習えばいいのに。あいつってば、いつも文句ばっかり言ってさ」
そういう駆も陽咲の文句を言っているが、なぜか楽しそうだ。その文句には悪意はなく、愛情すら感じられる。