クリア・スカイ
 
「今日だってさ、一緒に帰ろうって誘ったのに他の友達をとりやがって」

「そっちの約束の方が先だったんだよー。今度は一緒に帰ってくれるはずだよ」

「ま、そうだな」

 二人の間で一番盛り上がったのは陽咲の話だった。きっと二人とも、彼女が一緒じゃなくて寂しいのだろう。本当に仲が良くてほほえましいな。

 陽咲がいるのといないとでは空気が違う気がする。やっぱり僕達は太陽に照らされないと、元気が出ないらしい。


「もうお家に着いちゃった。駆くん、また一緒に帰ろうね」

「おう。じゃあ、旅館の手伝い頑張ってな」

 旅館前で駆と別れたほたるは、いつものように裏口から入っていくと、自分の部屋にではなく更衣室に向かう。
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